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Wishes come true once in a blue moon.

●とある銃使いの追想…
2022-06-07 Tue 00:02

私は生まれつき魔力が少なかったんです。

オルビス出身の妖精なのに……こんなことは滅多にないんだって。



得意なことは空を飛ぶこと。

苦手なことはそれ以外。

魔力がないし力もない。目立って突出した技術もない。

妖精の世界では落ちこぼれでした。



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オルビスはオシリア大陸の上空にある空中都市です。

世界各地への交通の拠点となっているので、商人や旅人等、様々な人達がやってきます。

特に旅人。

冒険家と呼ばれている彼らは、みんな多種多様な格好をしていました。

かっこいい鎧武器に身を包んだ戦士。いかにもな感じのローブを纏い杖を携えた魔法使い。

身長ほどもある大きな弓を構える弓使い。ナイフや手裏剣を器用に扱う盗賊。



街中で見かける彼らの姿は憧れでした。自分の力で自由に世界を旅できるなんて羨ましい。

私もオルビスを出て、ビクトリアアイランドに行って4賢者に従事してみようかと考えたこともあります。

でも、ただでさえダメダメな私が外の世界でやっていけるんだろうか、という不安が強く行動に移せずにいました。

剣はダメ。非力な私には扱えません。

魔法もダメ。魔力が少ないから困っているんです。

その他も、なかなかしっくりこないものです。



そんな日が何年も続いた頃……

オルビスのさらに上空にある巨人の島・クリセに行きたいという冒険家さん達がやってきて、私が彼らを案内することになりました。

他の妖精達は粗雑な巨人の近くにはあんまり近づきたがらないので、他にすることもない私が「道案内くらいはできるでしょ?」ということで抜擢されたわけです。

ですが、これが私にとっての転機でした。



20120610091150df3.jpg



案内していた冒険家さんたちが持っていたものの中に、見慣れないものがありました。

それが『銃』です。

当時、長く離れていたもう一人の賢者がビクトリアアイランドに戻ってきたそうで、「海賊」の指導を始めたらしいです。

その海賊としての戦い方の一つが、銃を扱う銃使いだというわけです。



Maple_220606_185108.jpg



それで……銃をみて驚きました。

だって、あんな小さな筒の先から火を噴けるんですよ。

しかも魔力のない人間でも。指先を少し動かすだけで。

力がなくても遠くを矢のように狙えるし、盗賊のように器用じゃなくても大丈夫。

もちろん、本当は火の玉ではなく銃弾です。でも、私には魔法のようにみえました。

どうして私には魔力がないんだ、ってずっと抱えていた劣等感が吹き飛びました。

これがあれば、魔力がなくったって『魔法』を使えるんだ。

そうしてすぐに、銃の虜になってしまいました。



クリセで彼らの仕事をお手伝いしながら、銃のことを色々聞きました。

彼らのなかに銃を上手く扱える人はいなかったけど、急に熱くなり始めた私の話をきちんと聞いてくれて、賢者様に紹介してくれることになりました。

海賊さん達も、最初は「珍しいお客さんだ」ってびっくりしていましたけど、温かく迎え入れてくれて、本当に感謝しています。



こうして、空の上から海の上へとステージを変え、私の旅も始まったのです。




※世界観設定は公式に沿ったものと捏造しまくっているものがごちゃ混ぜになっています。できる限り公式設定を活かしていますが、敢えて無視していることもあります
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